適用法令とその内容
BHCは、国内では化審法、農薬取締法、食品衛生法、海洋汚染法(γ-BHCのみ)、労働安全衛生法、毒劇法など、国際的にはPOPs条約およびバーゼル条約で規制の対象とされています。これらの法および条約では製造、輸入、販売および使用が原則禁止され、廃棄物は適正管理および処分が求められています。これらにより法律や条約制定以後の環境汚染は防止対策が取られています。また、廃棄物の主である埋設農薬については、「埋設農薬調査・掘削等マニュアル」および「POPs廃農薬の処理に関する技術的事項」が環境省から発行され適切な処理方法が明示されている状況となっています。
土壌汚染に対する規制の現状
一方、当時発生していた環境汚染、特に残留が懸念される土壌汚染については、農産物の検査は行われるものの、土壌および地下水に対する法規制がない状態です。なお、BHCが含まれる土壌は廃棄物ではないため、廃棄物処理法は適用されません。濃度については「埋設農薬調査・掘削等マニュアル」に環境管理指針値が定められていますが、これは汚染の有無を確認するための目安として設定されており、安全性の評価に用いられることは想定されていません。