PFOSやPFOAなどの有機フッ素化合物は、撥水・撥油性や耐熱・耐薬品性といった安定性を持つことから界面活性剤、消火剤、ワックスや半導体の表面処理剤などあらゆるところで利用されてきました。その種類は400種類以上に上ります。その一方で、その安定性ゆえに環境中で分解されにくく、世界中の河川などの環境水に存在し生物体内に蓄積していることが判明しました。
特にPFOSやPFOAは環境中で分解されにくく生物への有害性も指摘されたため、PFOSは2010年にPOPs条約の附属書B(使用等の制限)に登録されました。PFOAについても2019年に開催されたPOPs条約第9回締約国会議において附属書A(使用等の原則禁止)に追加されることが決定されました。
沖縄では、PFOSやPFOAの他にPFHxS、6:2FTS、8:2FTSやPFBSの分析も一部で行っています。
PFHxSは、現在、POPs条約の対象物質とするべきか評価が行われており、早ければ2021年春の締約国会議で登録される可能性がある物質です 。PFOSやPFOAより分子が細かいため、PFOSやPFOAの除去に利用されている粒状活性炭では除去できないおそれが指摘されています。
6:2FTSや8:2FTSは酸化剤の影響下で泡消火剤から生成されるという研究事例がある物質です。また、6:2FTSは金属メッキや泡消火剤にも使用されています。
PFBSは、PFOSやPFOAの代替物として利用されています。沖縄県内では、基地などがない本島南部の南城市の雄樋川、饒波川および報得川から検出されており、その最大濃度は雄樋川で301ng/Lでした。
これらの有機フッ素化合物の有害性については、発がん性、生殖毒性や内分泌かく乱などが判明してきたものの、データが不足しているのが現状です。PFOSについては北海道大学の調査によって、母体のPFOSの血中濃度が高くなるほど、4歳児までの乳幼児が感染症にかかるリスクが増加することや低体重出生(特に女児)の傾向が高くなることが判明しています。
有機フッ素化合物の分解方法について、国内では光触媒、温水分解、還元分解、超音波照射やイオン交換膜によって無機フッ素に分解する方法が開発されています。