コメ中のカドミウムを低減させる方法の一つとしてカドミウム高吸収植物の開発が農業環境技術研究所と農業生物資源研究所(両組織とも現在は農業・食品産業技術総合研究機構に統合)によって行われてきました。
ファイトレメディエーションへの利用を検討されていた長香穀という品種がありましたが、倒伏しやすくカドミウムが蓄積するもみが収穫前に脱落しやすいといった欠点がありました。そのような欠点を改善すべく開発されたのが、カドミウム高吸収品種ジャルジャンをガンマ線照射により得た突然変異体ファイレメCD1号、ジャルジャンと他の品種と交配したファイレメCD2号やファイレメCD3号です。東北、北陸、兵庫や九州など各地で実験が行われ土壌濃度の低下(最大で44%)が確認されています。
3品種の中でファイレメCD2号は管理が容易であるため、一番初めに導入する品種として推奨されています。ファイレメCD1号およびファイレメCD3号はファイレメCD2号よりカドミウム吸収量が多いが、施肥管理や水管理が適切に行える必要があります。なお、暖地である場合はファイレメCD1号が他の2品種よりカドミウムを吸収できることが確認されています。
文献名:『植物による土壌のカドミウム浄化技術確立実証事業実施の手引(第2版)』
発表者:農林水産省、国立研究開発法人 農業・食品技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
公開日:2017年1月