2021年8月26日、米軍が普天間飛行場で保管していたPFOS含有の汚染水を浄化したうえで排水したと発表しました。処理方法について日米間で協議中であったことや米軍から日本側へ排水の連絡がいったのは排水を行う30分前だったこと等、米軍の対応について沖縄県内外で抗議の声が上がっています。
排水までの経緯
保管していた汚染水は泡消火剤(PFOS含有)を使用した訓練で生じたもので、米軍によるとそのPFOS濃度は300~500ng/Lだったようです。
同年6月に発生したうるま市の陸軍貯油施設のPFOS汚水漏出事故を受けて、米軍は同様の事故を防ぐために台風シーズン前に汚染水を処理したいと考えていました。
処理方法について、米軍は従来の焼却処理は時間と費用が掛かるため、浄化装置によってPFOSの濃度を指針値以下して下水道に排水することを希望していました。一方、沖縄県や市は、有機フッ素化合物の難分解性・高蓄積性から焼却処理を求めており、日米間で処理方法を協議している最中でした。
排水について
排水総量は6万4千リットルに上り、2~3日かけて排水されました。途中、県や宜野湾市が排水の中止を求めても米軍は排水を続けました。
米軍側は汚水に含まれていたPFOSやPFOAは除去され、その濃度も「日本の目標値と比べて20倍も清浄」「日本環境管理基準(JEGS)にも準拠している」とその安全性を主張しています。
このPFOSの処理システムについては、同年7月19日に県や市が立ち入り調査を行い、米軍から提供された浄化後のサンプルの分析が国、県、米国でそれぞれ行われています。その結果、PFOS濃度は県の分析では2.5ng/L、米国の分析では2.7ng/Lでした。しかしながらこの立入り調査では浄化過程の確認は行えず、米軍から提供されたのは浄化後の水のみで浄化前の水は提供されておらず透明性に疑問が残るものでした。
2021年9月時点でPFOSやPFOAを下水道へ排水することについての規制はありません。そのため、同じようなことが起こった際に米軍を止められるように法の整備を求める声が上がっています。