鉛についてはカラシナ、ヒマワリ、トウモロコシやシロクローバーなど多くの集積植物が確認されています。その中でもソバの蓄積能力が高いことが判明しています。岐阜大学と中部電力が実施した射撃場跡地の実験でも以下のようにヒマワリの約2倍、トウモロコシの約5倍の鉛を蓄積することが確認されています。
出典:『現地実証試験における植物による鉛汚染土壌の浄化と拡散防止効果』松古ら
また、ソバの植栽により雨水の排水量が低減されることが確認されており、鉛の除去効果だけでなく汚染拡散防止効果についても研究が行われています。その他にもキレート剤や有機肥料などを添加し、吸収効率を上げる研究も行われています。キレート剤を添加すると土壌中の鉛が溶出し、蓄積量が2倍以上になることが確認されていますが、雨水や地下水によって汚染拡散してしまうリスクもあります。
研究の成果としては、鉛の蓄積量に言及しているものが多く、土壌濃度の変化に関する報告はほとんどありません。なお、中部電力はソバとゼオライトなどの鉛吸着剤を活用した射撃場の鉛浄化システムについての特許を株式会社トーエネックと共同で保有しています。
文献名:『現地実証試験における植物による鉛汚染土壌の浄化と拡散防止効果』
発表者:松古 浩樹、本田 宗央、武藤 淳司、田村 英生、小島 淳一、佐藤 健
公開日:2007年2月