1970年代にファイトレメディエーションという概念が生み出され、系統的な研究が行われ始めました。技術として注目され始めたのはアメリカで土壌汚染対策の強化が始まった1990年代以降です。
日本では水俣病やイタイイタイ病など公害が社会問題化した1970年代に農耕地の重金属汚染を植物で浄化する研究が行われました。しかしながら、浄化目標を達成するまで10年以上かかることや収穫物の処理の問題等により、当時は実用化が難しいと判断されました。以降、食品中のカドミウム含有量の基準値の見直しや国外で研究が盛んになる1990年代まで進展はありませんでした。研究はカドミウム、鉛やヒ素を対象としたものが多いですが、2011年の福島の原発事故以降はセシウムを対象としたものも増えてきました。最近では品種改良によって高吸収能力を持つ植物の開発なども行われています。
アメリカでは、1990年代からベンチャー企業を筆頭に有機塩素化合物や油の汚染地において試験および浄化が行われました。中でも、米国国防総省の予算で運営されている先端応用技術研究開発機構のもとで行われたポーツマスにあるアメリカ海軍のクレイニー島の石油基地での浄化実験が有名です。2004年頃からは遺伝子組み換え体を用いたフィールド試験が開始されています。
中国では、工業廃水や都市汚水などが灌漑用水として用いられたため、カドミウムや鉛といった重金属による農地汚染が問題になっています。カドミウムは水に溶出されやすいため、伴鉱景天という植物を用いた浄化試験などが行われています。