ファイトレメディエーションとは汚染土壌や汚染水を修復するために植物が持っている機能を利用する技術の総称です。
植物は土壌から養分を吸収しますが、その際に養分と似た性質や大きさの有害物質を 誤って吸収してしまいます。そのため、植物は有害物質の吸収を回避する機構や吸収した際の耐性機構を獲得しています。ファイトレメディエーションはこれらの機能を利用した浄化技術です。ファイトレメディエーションにはいくつか種類があり、大きくは次の3つに区分されます。①根からの分泌物や根の雨水吸収によって有害物質の拡散を防止する方法、②植物に有害物質を吸収・蓄積させ土壌から汚染物質を除去する方法、③根からの分泌物により活性化させた微生物や体内の酵素により有害物質(主に有機化合物)を分解する方法です。
既存の浄化技術のように汚染土壌の掘削、運搬や薬剤などとの攪拌の必要がなく、また、緑化による景観美化やCO2固定化といったメリットがあります。そのため、低コストかつ低環境負荷な技術として国内外で研究が行われています。課題点としては、浄化に時間がかかることや汚染物質や環境により使用植物が制限されるなどといったことが挙げられます。ファイトレメディエーションで主に使用される植物は、対象とする有害物質に特異的に耐性を持ち、体内に蓄積できる超集積植物といわれるものです。現在、確認されている超集積植物は約400種類に上ります。