独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成事業のもと、県立広島大学が常温・常圧かつ乾式でBHCの分解を行える金属粉末を開発しました。この金属粉末は、市販の金属カルシウム、酸化カルシウムおよび鉄粉を混合し、ナノサイズにまで粉砕したものです。
特徴の一つは、既存の処理に用いられる薬剤は水との懸濁など湿式であるのに対し、この薬剤は土壌に直接添加して分解を行える乾式という点です。土壌中の含水量に影響を受けるものの、含水率18%でも1週間で100%の分解率が確認されています。含水率が24%以上となる場合は、鉄粉を添加することにより3週間で80%以上の分解率を維持できることも確認されています。
また、この薬剤はBHCだけでなく重金属の不溶化も行うことが出来るため、複合汚染に対応できる可能性があります。なお、この薬剤コストは1トンの汚染土壌に対して約2000円と試算されています。
文献名:金属カルシウムのナノ分散体によるPOPs含有複合汚染物の無害化における投入エネルギー最小化に関する研究
発表者:三苫好治
公開日:2013年12月