ジオテクノス株式会社とDOWAエコシステム株式会社が常温・常圧下でBHCを分解できる特殊鉄粉を開発しました。この特殊鉄粉は、模擬汚染水でBHCの4種類の異性体(α、β、γ、δ)を99%分解することが出来ています。その分解速度も半減期が約1時間程度ととても迅速です。分解の阻害要因としては、硝酸イオンが過剰な場合とTOC(全有機炭素)濃度が高い場合ということも判明しています。
土壌に直接散布し、攪拌することによってBHCの分解を行うこともできますが、BHCと特殊鉄粉の接触機会が減ることによって、効果が水系よりも低くなってしまいます。その分解率は混錬を繰り返し行なって90%程度です。そのため、土壌からBHCを水に溶出させ、その水を処理する方法の方が簡便であり、時間も短く済むとしています。ただし、BHCが分解されることによって生成されるベンゼンは別途処理が必要です。今後の課題点として、処理効率を上げるためBHCの抽出方法や条件の検討が挙げられています。
文献名:特殊鉄粉によるBHCの処理 発表者:横山 圭一、鎌田 雅美、上原 大志 公開日:2011年8月