BHCによる土壌汚染が懸念されるのは、埋設農薬、農薬製造工場および農用地が主であると考えられます。それぞれの汚染事例を2回に分けて紹介していきます。
埋設農薬
埋設農薬とは、1971年に販売禁止となったものの無害化処理法が確立されていなかったため、漏洩防止策を施し土壌中に埋設された農薬のことです。有機塩素系農薬の中でもBHCは一番多くの量が埋め立てられ、農林水産省の発表によるとその量は2,202,792tにも上りました。なお、2018年9月時点でその約94%の2,072,154tは処理済みとなっています。
漏洩防止策が施されているのであれば問題ないと思ってしまいますが、この埋設農薬が漏洩し、周辺に拡散する事例が確認されています。
新潟県では過去の記録及び当時の担当者の記憶から、97カ所に農薬が埋設されていることがわかり 周辺環境への影響を調べるため、これらの周辺地下水もしくは浸出水等の環境水を対象として2002年に調査を実施したところ、ある山地の埋設地点の浸出水から,環境省が定めた農薬管理指針値を超える濃度のBHCが検出された。
『ある山地における埋設農薬の漏洩拡散状況調査』新潟県保健環境科学研究所年報 第21巻
農薬製造工場
農薬を製造していた工場では、製造過程による漏洩や敷地内で廃農薬の埋設など複数の汚染要因が考えられます。福岡県のA社 工場跡地では、2002年に行われた自主的な土壌調査によって指針値を超える汚染が見つかっています。
また、当社が浄化を行った土地では、土地造成の際の埋め立てに農薬製造工場の土壌を用いたことによってBHC汚染が生じました。