これまで返還地では、復元工事や調査が行われた際に有害物質を含む埋設廃棄物や土壌汚染が確認されてきました。
1996年には恩納通信所跡地の汚染処理槽から、2002年には航空自衛隊恩納分屯基地の旧汚水処理施設から基準値を超えるPCB含有汚泥が確認されました。これらの汚泥はドラム缶に入れられ、航空自衛隊恩納分屯基地に保管されました。その量は最終的に320tにも上りました。汚泥は2013年末までに北九州市の処理業者により全量処分されています。
2013年には沖縄市の市営サッカー場において、人工芝敷設工事中に108本のドラム缶が発見されました。ドラム缶の付着物からはヒ素、ジクロロメタン、PCB、農薬類、ダイオキシン類および油分等が検出されました。ドラム缶や汚染土壌は2017年までに全て沖縄防衛局により処分されました。その他にもキャンプ桑江北側返還跡地や嘉手納弾薬庫地区返還跡地などの返還跡地からドラム缶や古い機関銃などの埋設物や六価クロム、ヒ素、鉛や油分による土壌汚染が確認されてきました。
これらの汚染や埋設物について、米軍は原状回復義務がないため対応に難色を示しました。また、一部の土地では地元住民による廃棄物の投棄も行われていたため、処理責任がどこにあるのかが問題となり対応が遅れるような事態も発生しました。2012年に跡地利用特措法が成立したため、現在は日米合同委員会において返還が合意された駐留軍用地の区域の全部について国に建物、不発弾や汚染土壌等の調査および支障除去措置を行うことが義務付けられています。
沖縄県では国および関係市町村等と連携した新たな環境保全の仕組みを目指し「沖縄県米軍基地環境調査ガイドライン」を作成しています。このガイドラインでは土壌汚染対策法やダイオキシン特措法で対象となっていない沖縄特有の有害物質についても対象としています。