モエジマシダは、シダ植物の一種であり亜熱帯で自生する多年草です。日本国内では沖縄、鹿児島、大分、和歌山などで確認がされています。亜熱帯植物であるため、国内では近畿以北において自生していません。そのため、寒冷地で使用する場合は越冬が出来ないため毎年苗を植える必要があります。
モエジマシダがヒ素を驚異的に吸収・蓄積することは、2001年にフロリダで行われたヒ素汚染土壌に自生する植物調査によって判明しました。以降、活発に研究が行われ、アメリカの会社によってヒ素を除去する植物として商品化もされています。モエジマシダに吸収されたヒ素はその90%が葉に蓄積されるため、地上部を刈り取ることによってヒ素を回収することができます。
日本では、株式会社フジタや東北大学などがモエジマシダを用いて実験を行っています。実験は室内だけでなく野外でも行われており、モエジマシダへのヒ素の蓄積や土壌濃度の低下が確認されています。株式会社フジタが行った汚染地での実験では、以下のような結果が得られています。
『重金属汚染土壌のファイトレメディエーション(モエジマシダを用いたヒ素汚染土壌の浄化)』近藤ら
東北大学では、東日本大震災の津波堆積物により発生した沿岸部のヒ素汚染に対してこのモエジマシダを用いた実験が行われました。この実験では、10月から11月にかけて葉中に蓄積されていたヒ素が根茎への移動や土壌に戻っている可能性が示唆されました。その原因については検討がなされているものの詳細不明としています。
文献名:重金属汚染土壌のファイトレメディエーション(モエジマシダを用いたヒ素汚染土壌の浄化)
発表者:近藤 敏仁、北島 信行
公開日:2007年8月
文献名: 津波による土壌のヒ素汚染とその修復への取り組み
発表者: 宮内 啓介 、 簡 梅芳 、 黄 毅 、 大友 俊介、 和泉 卓也、井上 千弘、 北島 信行 、 遠藤 銀朗
公開日: 2013年8月