平成28年1月に沖縄県企業局が、比謝川および周辺地下水で比較的高濃度のPFOSといった有機フッ素化合物が検出されていたことを発表しました。以降、県内では定期的に普天間飛行場や嘉手納基地周辺地等の19地点でモニタリングが行われています。米軍基地内でも水質調査が行われており、高濃度のPFOSが検出されていました。
基地周辺で汚染が確認されていること、米軍がPFOSを含む泡消火剤などを保管していることなどから汚染源が米軍基地である可能性が高いと考えられています。汚染源を特定するためにも県は立ち入り調査を2016年から求めていますが、米軍が立ち入り調査を拒否しているため2019年時点でも実現されていません。
環境補足協定により、環境に影響を及ぼす事故(漏出)が現に発生した場合や返還予定地の調査として米軍施設・区域へ立ち入りを行える仕組みがあります。しかしながら、先に述べたとおり調査は棚上げ状態となっており、実態としては米軍側に裁量権がある状態となっています。
他国ではそれぞれの協定等で立ち入り権が明記されています。ドイツでは、ドイツ連邦、州および地方自治体の立ち入り権が明記され、緊急時には自治体が事前通告なしで立ち入ることも可能です。また、イタリアでは、米軍基地はイタリア司令部の管轄下であり、イタリア司令官は全ての区域に自由に立ち入ることが可能です。米国内、ドイツ、韓国やベルギーなど100か所以上の基地でPFOSやPFOAの汚染が確認されてきましたが、米軍は汚染を認め対処をしています。