水中のフッ素化合物を除去する植物としてキョウチクトウなどの高バイオマスであり、繊維質の根系を備えた園芸植物を用いた研究が行われています。
インドのシバジ大学では、イタチガヤおよびスベリヒユをフッ素濃度10㎎/L、キョウチクトウを10~50㎎/Lの模擬汚染水で栽培し、その吸収挙動について確認が行われました。
試験の結果、フッ素濃度が10㎎/Lの場合、15日以内にキョウチクトウは92%、イタチガヤは80%、スベリヒユは73%の最大除去率が確認されました。キョウチクトウはフッ素濃度が高いほど除去率が低くなる傾向にありました。
フッ素化合物の蓄積は葉のクロロフィル含有量を減らし、それにより炭水化合物合成の減少も引き起こされることが知られていますが、今回の試験においてもクロロフィル含有量およびたんぱく質の減少が全ての植物で確認されました。
この試験では、キョウチクトウが他の植物に対し、フッ化物除去における優位性が示されました。
スベリヒユは、日本全土に分布する多年生植物です。雑草として扱われていますが、地域によっては食用とされています。イタチガヤはイネ科の多年草で国内では本州南部から沖縄県に分布しています。キョウチクトウは常緑樹で国内では東北の南部以南に分布しています。葉や根など全てに毒性があり、その毒性は青酸カリを上回るとされています。植えた場所の土壌にも毒が残るという恐ろしい植物ですが、原爆が投下された後の広島でいち早く咲くなど丈夫な植物であり、高速道路や公園など日本各地で植えられています。
文献名:Phytoremediation of fluoride with garden ornamentals Nerium oleander, Portulaca oleracea, and Pogonatherum crinitum
発表者:Rahul V. Khandare、Shaileshkumar B. Desai、Sourabh S. Bhujbal、Anuprita D. Watharkar、Shivtej P. Biradar、Pankaj K. Pawar、Sanjay P. Govindwar
公開日:2017年1月