嘉手納基地
嘉手納基地周辺では、比謝川、天願川や長田川といった河川や地下水だけでなく、住宅地にある公園の湧水からも高濃度でPFOSやPFOAといった有機フッ素化合物が検出されています。
県衛生環境研究所は、沖縄本島全域の汚染状況を把握するため本島内の河川と3海域を調査し、以下のような結論を出しています。なお、PFCsは有機フッ素化合物の略称です。
市街地を流れる河川は数種類のPFCs が検出されており、2~3 種のPFCsしか検出されていない農地・山間部を流れる河川より、PFCs全体の濃度が高い値を示していることから、人間活動による汚染であると推測される。特に中部の比謝川、長田川、天願川の 3 河川は、高い濃度のPFCs が検出され、それぞれ異なる PFCs の組成を示していることから、流域にそれぞれ異なる汚染源があると考えられる。
出典:『沖縄島の河川及び海域における有機フッ素化合物の環境汚染調査』塩川ら
現在、汚染源として有力視されている場所は嘉手納基地の他に産業廃棄物処理業者のD社の敷地です。
嘉手納基地では、2014~17年に米軍が調査した結果、周辺で消防訓練が行われるため池でPFOSが最大500ng/L、PFOAが75ng/L検出されました。また、建物内のスプリンクラーの泡消火剤にもPFOSおよびPFOAが含まれていることが判明しています。加えて2014年9月には泡消火剤がスプリンクラーから噴出する事故も発生し、数百リットルが漏れ基地外に流出したおそれがあることを米軍は認識しています。
D社は現在、不法投棄により産業廃棄物処理業者の許可業が取り消されています。D社はそれまで米軍基地から出る一般ごみを長年受け入れており、2014~2015年には142tの泡消火剤の埋め立ても行ったことが判明しています。15年に搬入した分にPFOSは含まれていないという記録がありますが、PFOAに関する記述はありません。この敷地には違法に積み上げられたごみ山があり、2018年度に実施された周辺地下水の調査で高濃度の有機フッ素化合物が検出されています。敷地の位置も比謝川や天願川の上流側にあります。県は一度の調査で特定は出来ないため、引き続き調査を行うとしています。
普天間基地
普天間基地周辺でも嘉手納基地周辺と同様に河川、地下水や湧水でPFOSやPFOAの汚染が確認されています。普天間基地では、嘉手納基地と同様にPFOS等を含む泡消火剤が使用されており、基地内の汚染も確認されています。また、地下水や湧水で汚染が確認された地点はいずれも普天間基地の下流側にあります。以上のことから普天間基地が汚染源として有力視されています。